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機能材料

Functional Materials

機能材料とは

弊社は独自の技術を用いて多くの機能材料を製造しております。
代表的なものとして「定温度保持材料 Smartec®-HS」、「熱膨張抑制剤 Smartec®」、「Lanthagen®(ランタゲン®)」などがあります。

機能材料

定温度保持材料(蓄熱材)
〈商品名 Smartec® HS〉

定温度保持材料は物質の「蓄熱特性」を利用した材料です。
蓄熱材は、物質の大きな熱容量を利用し温度を一定に保つための材料の総称です。代表的なものに、氷と水の転移熱を利用したものがあります。
2011年に国立研究開発法人理化学研究所では、二酸化バナジウムの一部を他の金属で置換した物質に、大きな蓄熱特性を持つことを発見し、保持温度を自由に選択できるタイプの蓄熱材」の特許を取得しました。
弊社では本材料の製品化にいち早く取り組み、理化学研究所より初めて特許権などの実施許諾契約を受けました。

従来開発されてきた材料は、固相と液相が変わるときの発熱、吸熱を利用するため、液化や大きな体積変化により容器に制約があり、小さい熱伝導から熱応答が悪い、蓄熱材自体が分解する、保持温度が物質固有の相転移温度に制限される、などの課題がありました。
蓄熱材の圧倒的大部分が、固液相転移を利用していますが、本材料は、VO2のもつ大きな潜熱を利用し、最大の特徴は、固体-固体間の相転移を利用しているという点です。

定温度保持材料

一般的な潜熱蓄熱材(水・氷)

一般的な潜熱蓄熱材(水・氷)

酸化バナジウム系蓄熱材

酸化バナジウム系蓄熱材

シリーズの一例として、11℃での蓄熱特性を持つV0.977W0.023O2は、室温下で0℃に保冷する能力が、同じ条件下で0℃に保冷する氷の能力とほぼ同等となります。 バナジウムと置換する元素や比率を制御することで、室温付近だけでなく、低温(-30℃)から高温(200℃)近傍まで制御が可能です。

蓄熱材の標準ラインナップ

「Smartec® HS 10」 低温領域対応品 制御温度:約10℃ 
「Smartec® HS 70」 高温領域対応品 制御温度:約70℃ 
「Smartec® HS 120」 高温領域対応品 制御温度:約120℃

※その他の制御温度への対応については随時ご相談を受け付けております。

本定温度保持材料のメリット

従来ある蓄熱材料と比較して

    • 固体であり、容器の制約を受けない
    • 樹脂混錬などにより、様々な形状への加工が可能である
    • 組成制御により、保持温度を自由に選択できる
    • 熱伝導が高く、熱応答特性が高い
    • 過冷却がなく、比熱式と違い一定温度を保持する
    • 不燃性であり、耐熱温度が高い

電子材料、機器の構造材、輸送材料など、急激な温度変化の好ましくない用途へ向けて応用が期待できます。

熱膨張抑制剤<商品名 Smartec®>

逆ペロブスカイト構造

2005年に国立研究開発法人理化学研究所にて発見された、一定の温度領域において負(マイナス)の膨張率を持つ物質です。

窒化物の合成技術を活かし製品化に取り組み、理化学研究所よりこの発明の実施許諾を受けました。
製品化には弊社でこれまでに培った、機能性セラミックス粉末やスパッタリングターゲット、EB蒸着用材料などの成形体製造技術が活かされています。

対応温度領域は構成元素・組成の変更によりアレンジが可能です。 別途ご相談ください。

マンガン窒化物の特徴

マンガン窒化物の特徴

もともと、Mn3ZnNなどの逆ペロブスカイト構造を持つマンガンの窒化物は、温度上昇に伴い、相変化による急激な体積減少を示すことが知られていました。このマンガン窒化物の一部をゲルマニウムや錫などに置き換えることで、相変化に伴う体積減少を穏やかにすることができます。
この物質で得られた成形体は左のグラフのように一定の温度領域で連続的な負膨張率を示します。
精密機器や温度補償材料などの分野において応用が期待され注目を集めています。

熱膨張抑制剤の実績例

※スクロールしてご覧いただけます。

常温領域対応品  制御範囲:20℃ ~ 65℃
膨張係数α=-40ppm/℃ 
高温領域対応品 制御範囲:65℃ ~ 100℃
膨張係数α=-45ppm/℃
その他 樹脂混練ペレットによる射出成型プラスチック用材料に関する情報提供

マンガン窒化物の
応用のメリット

従来ある負膨張性物質と比較して

  • 大きな負膨張率を持つ
  • 負膨張性の制御が容易
  • 負膨張異方性がなく、粉末でも使用可能
  • 樹脂と混練し射出成型プラスチックが可能
  • 環境に優しい材料
従来ある負膨張性物質と比較

ランタゲン®

弊社では、長年にわたり種々の金属アルコキシドの研究・開発・製造・販売を行い、多くの経験と技術を蓄積してまいりました。
一般に金属アルコキシドは、金属酸化物薄膜やバルクの製造法であるゾルゲル法や、MOCVD法の原料として用いられています。

近年、Laをはじめとするランタノイドアルコキシドは不斉合成触媒の原料としても注目されるようになりました。
そのなかで弊社のランタノイドアルコキシドの触媒活性は多くのお客様より高い評価をいただいています。
弊社は東京大学大学院薬学系研究科柴崎正勝教授のご指導をもとに、不斉合成触媒用ランタノイドアルコキシドの触媒活性評価法を開発しました。
この評価法を用いて製造ロットごとに評価を行い、合格品をLanthagen®(ランタゲン®)としてご提供することにしました。
ここにそのランタゲン®をお客様の研究・開発・試作・生産の便宜のためご紹介させていただきます。

触媒活性評価法の概要

反応例1、2

ケクレ構造式+ベンゼン環

触媒活性評価値は、ランタノイドアルコキシドとBINOL((S)-2,2’-dihydoroxy-1,1’-binaphthyl)からLn-BINOL触媒を調製し、これを用いたカルコンの不斉エポキシ化反応の反応率と不斉収率で示します。

この評価法の反応条件は、触媒性能を確認しやすいように、Ph3As=Oなどの添加物を加えず、低温、短時間で行っています。そのため、文献などに記載されているカルコンの不斉エポキシ化反応のデータと比較すると反応率、不斉収率とも低いデータを示します。

Nitro-aldol reaction³

Nitro-aldol reaction³

Michael reaction⁴

Michael reaction⁴

Epoxidation reaction of enone⁵,

Epoxidation reaction of enone⁵

Epoxidation reaction of α.β-unsaturated N-acylimidazole⁷

Epoxidation reaction of α.β-unsaturated N-acylimidazole⁷

Epoxidation reaction of α.β-unsaturated amide⁸

Epoxidation reaction of α.β-unsaturated amide⁸

Cyanosilylation reaction of ketone⁹,10

Cyanosilylation reaction of ketone⁹,10

Hydrophosphonylation reaction11

Hydrophosphonylation reaction11

上記の資料は、東京大学大学院薬学系研究科 柴崎正勝教授のご好意によるものです。

触媒用ランタノイド
アルコキシド一覧

※スクロールしてご覧いただけます。

コードNo. LAR04GB PRR02GB SMR02GB GDR02GB YBR02GB YYR04GB
製品名 ランタゲン®
トリ-イソプロポキシランタン
ランタゲン®
トリ-イソプロポキシプラセオジム
ランタゲン®
トリ-イソプロポキシサマリウム
ランタゲン®
トリ-イソプロポキシガドリニウム
ランタゲン®
トリ-イソプロポキシイッテルビウム
ランタゲン®
トリ-イソプロポキシイットリウム
化学式 La(O-i-C3H7)3 Pr(O-i-C3H7)3 Sm(O-i-C3H7)3 Gd(O-i-C3H7)3 Yb(O-i-C3H7)3 Y(O-i-C3H7)3
名称 Lanthanum
tri-isopropoxide
Praseodymium
tri-isopropoxide
Samarium
tri-isopropoxide
Gadolinium
tri-isopropoxide
Ytterbium
tri-isopropoxide
Yttrium
tri-isopropoxide
CAS No. 19446-52-7 19236-14-7 3504-40-3 14532-05-9 6742-69-4 2172-12-5
分子量 316.2 318.2 327.6 334.5 350.3 266.2
性状 White solid Light green solid Yellow-orange solid White solid White solid White solid
会合度*1 - - - - - 4.0
溶解度(g/L)*2 THF 320 300 470 250 310 240
Toluene 200 220 280 290 270 200
Hexane 270 310 470 250 310 240
IPA 80 50 40 30 180 20
希土類金属含量*3(%) 43.9 46.0 48.3 50.0 47.6 37.3
不純物*3(%) Al <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 0.02
Ca <0.01 0.06 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01
Fe <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01 <0.01
Si <0.01 <0.01 0.03 0.03 <0.02 0.03
Na 0.30 0.10 0.13 0.52 <0.01 <0.01
Cl 0.68 1.0 0.47 0.26 0.02 0.06
触媒性能 yield(%) ≥55 ≥63 ≥54 ≥82 ≥41 ≥84
ee(%ee) ≥70 ≥51 ≥56 ≥51 ≥62 ≥15

*1 会合度は、ベンゼン凝固点降下法にて測定した分子量から計算した。

*2 溶解度は、室温における溶液1L中の溶質の量を示す。

*3 希土類金属含量、不純物含量は分析例を示す。―は未測定であることを示す。

取り扱い上の注意

  1. 製品は不活性ガスが充満したガラスアンプル入りです。
  2. ランタノイドアルコキシドは、大気中のわずかな水分と接触すると分解し、触媒活性が失われます。取り扱いは乾燥した不活性ガスで十分に置換したグローブボックスやグローブバッグ内で行ってください。
  3. 一度アンプルを開封したら、すぐに使い切ってください。ガラス瓶やグローブボックス内でもわずかな水分と反応し、触媒活性が低下していきます。
  4. 製品の溶解に用いる溶媒は、十分に脱水してお使いください。